今日読んだのは、山口周『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』。
以前、同著者の『外資系コンサルの知的生産技術ープロだけが知る「99の心得」』が大変勉強になったし、「読書を仕事につなげる技術」という観点に関心があったので、読んでみようと思った。
外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る「99の心得」 (光文社新書)
- 作者: 山口周
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/01/15
- メディア: 新書
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『読書を仕事につなげる技術』も、やはりとても面白く、興味深い内容だった。特に驚いたのは、小室直樹『論理の方法』が紹介されていたことだ。
抽象化とは、細かい要素を捨ててしまってミソを抜き出すこと、「要するに○○だ」とまとめてしまうこと。モノゴトがどのように動いているか、その仕組み=基本的なメカニズムを抜き出すことです。経済学の世界ではこれを「モデル化する」と言います。
この点について筆者が知る限りでもっとも端的にまとめているのは、社会科学の名著である小室直樹先生の『論理の方法』です。(135)
いやー、小室直樹の著作を読み続けた僕にとっては、『論理の方法』がビジネス書でサラッと紹介されている、しかも「社会科学の名著」とまで絶賛されているのはとてもうれしい。うん、『論理の方法』は社会人に。そして学生にも是非読んでほしい一冊だな。
また、現代のビジネスパーソンがリベラルアーツを修めるために読むべき7つのカテゴリーのなかに「哲学」があり、そこでジャック・デリダの名前も出てくるのも面白い。
哲学、なかでも構造主義以降の現代思想は多くの経営コンセプトにも影響を与えています。例えば、一時期BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)がほうぼうで吹聴しいたデコンストラクションは、もともとフランスの哲学者ジャック・デリダが提唱した「脱構築」というコンセプトがもとになっています。…
現代思想というのは、世界や社会の変容を捉える枠組みを考察する学問ですから、これがそのまま経営の世界に転用されるのは当然のことと言えます。(98)
著者も指摘しているように、デリダが提唱した脱構築と、BCGが吹聴したデコンストラクションはまったく異なるものであったとしても、哲学・現代思想が経営コンセプトに影響を与えているという指摘は重要だし、経営の世界だけではなく、政治や行政の世界においても、哲学や現代思想から学ぶことはあると思う。
この記事で紹介したのは、僕にとって特に興味深かった箇所だけど、本書には「読書を仕事につなげる」具体的な「技術」や、「本当に読むべき71冊」が紹介されていて大変参考になるので、外資系コンサルに限らず、多くの社会人に是非読んでほしい。