今年の〇冊というものを書くにも、今年自分が購入した本のメモをちゃんとしていなかったし、今年購入したものが今年出版されたものかもよくわかっていない。だから、とりあえず、手元にあった本で、今年出版されたもので購入し、かつ、少しでも目を通しているものを紹介。
まずは、ジャック・デリダ『哲学への権利2』。
- 作者: ジャック・デリダ,西山雄二,立花史,馬場智一,宮?裕助,藤田尚志,津崎良典
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2015/11/26
- メディア: 単行本
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『哲学への権利1』が出版されたのは昨年の12月だから、約1年後に『哲学への権利2』が出版されたことになる。脱構築研究会とドゥルーズ科研との共同開催でのワークショップ「ドゥルーズとデリダ」でも、訳者の西山雄二氏が言っていたように、「理論と実践が集約された」一冊。本書で示されている「理論と実践」の思想を、我々がどのように引き継いでいくかを、本書を通じて考えていきたい。
デリダ関連とも言えるものとしては、エトムント・フッサール『形式論理学と超越論的論理学』の翻訳が出版されたことは嬉しかった。
- 作者: エトムント・フッサール,立松弘孝
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2015/01/24
- メディア: 単行本
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『幾何学の起源』や『フッサール哲学における発生の問題』を読むにあたり、本書は絶対に読んでおきたい一冊。本書が出版されたのは1月か…。月日が経つのは早い。
哲学・思想系では、國分功一郎監修『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』。
- 作者: ジル・ドゥルーズ,國分功一郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
- 発売日: 2015/09/18
- メディア: 単行本
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映像を通じて哲学・思想を学ぶ楽しさ、『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』はそれを示してくれる。國分功一郎氏の解説と、國分浩一郎×千葉雅也「対談「アベセデール」の地図を作成する」も勉強になる。
また、印象的だったのは、『ニュクス』の出版。
- 作者: 佐々木雄大,松本卓也,トマ・ピケティ,エマニュエル・サエズ,ジャン=リュック・ナンシー,ジョルジョ・アガンベン,土橋茂樹,岡本源太,星野太,隠岐さや香,板東洋介,深貝保則,西亮太,斎藤幸平,メランベルジェ眞紀,柿並良佑,荒谷大輔,河野一紀,小林芳樹,向井雅明
- 出版社/メーカー: 堀之内出版
- 発売日: 2015/01/31
- メディア: 単行本
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- 作者: マルクス・ガブリエル,浅沼光樹,阿部ふく子,池松辰男,大河内泰樹,加藤紫苑,城戸淳,桑原俊介,下田和宣,多田圭介,中川明才,中島新,山田有希子,伊澤高志,佐々木雄大,坂東洋介,宮野真生子,村田右富実,山本芳久,三重野清顕
- 出版社/メーカー: 堀之内出版
- 発売日: 2015/12/10
- メディア: 単行本
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特に、第2号の「第一特集 ドイツ観念論と理性の復権」は大変興味深い内容で、勉強になる。今後の出版も楽しみ。
あと、最近読み始めたもので、すごく刺激的なのが、ドゥニ・オリエ『ジョルジュ・バタイユの反建築』。
- 作者: ドゥニオリエ,Denis Hollier,岩野卓司,石川学,神田浩一,大西雅一郎,福島勲,丸山真幸,長井文
- 出版社/メーカー: 水声社
- 発売日: 2015/09
- メディア: 単行本
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バタイユについて詳しくは知らないけど、本書はとても面白い。バタイユについては、読書する準備だけはできているから、時間をつくってちゃんと勉強しよう。
今年で注目すべきものは、いわゆるSEALDs現象だろう。その点で、高橋源一郎×SEALDs『民主主義ってなんだ?』、SEALDs『民主主義ってこれだ!』は興味深い本。
- 作者: 高橋源一郎,SEALDs
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/09/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 2015/10/21
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SEALDsそのものに関心はないけど、一般の人だけではなく、政治家や学者、さらには芸能人やミュージシャンが、SEALDsの出現に「希望」を見出したことは興味深い現象。SEALDs関連本は、「2015年」の記録として、購入しておいてもいいだろう。
政治関連では、西田亮介『メディアと自民党』が勉強になった。
- 作者: 西田亮介
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2015/10/24
- メディア: 新書
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今後、メディアと政治を語るうえでの必読本となるであろう一冊。西田亮介氏が取っている政治・行政との「距離感」は重要だと思う。
最後に、今年は「批評」という営みにおいて、注目すべき書籍が出版された。東浩紀編『ゲンロン1 現代日本の批評』と、大澤聡『批評メディア論』だ。
- 作者: 大澤聡
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/01/21
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批評の過去・現在・未来について考えることの快楽を、これらの書籍を通じて味わうことができる。批評について考えることは、冒頭で紹介したデリダ『哲学への権利』にも通じる。
とりあえずはこんな感じかな。来年も素敵な本との出会い、本を通じて素敵な出会いがあればいいな、と。