yamachanのメモ

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西尾勝『行政学』「第2章 官僚制と民主制」メモ

法治主義の3原理:①法律優越の原理、②侵害留保の原理、③法律による裁判の原理
→この3原理のすべてを具備した法治主義が確立されないと「法律による行政」の原理(法治行政原理)は不完全である。

立法・司法・行政の分立に関連してすでに確立済みの法治主義の諸原理、そしてこれを前提にした「法律による行政」の原理の規範は、立法・行政の関係を優越・従属の関係におき、立法府が行政府を統制するための規範である(22)

アメリカ合衆国憲法構造

連邦政府の議会と大統領は相互に独立対等の代表機関である。それでいて、この両機関の間には複雑な抑制均衡(check and balance)の相互関係が仕組まれている(22)。

 

参考1:飯尾潤『日本の統治構造』

権力の配置から政治制度をみた場合、議会制が定着していれば、議院内閣制は権力集中を指向し、大統領制は権力分立を指向するが、もう一つ注目しておかなくてはいけないのは、行政権の構造である。
イギリス型の議院内閣制では、政治権力が集中する傾向にあるが、同じ議院内閣制を採っていても、政党政治が弱い場合には別の力が働く。日本の場合を極端な例として、ヨーロッパ各国でも緩やかな権力集中しかみられない場合も多い。政治権力において、立法権と行政権が融合するなかえ、行政権が分散的傾向をとることによってバランスを取る側面があるともいえる。
それに対して、権力分立制が採られているアメリカ型の大統領制の場合、行政権は大統領に集中するため、実効性はともかく権限のうえでは大統領に権力が集中し、きわめて強い権力核が現れる(154)。

 

参考2:菅直人『大臣 増補版』

日本は議院内閣制という憲法構造になっている。国会は三権の中で唯一国民から直接選ばれる国民の代表機関なのである。つまり、国会は「国の唯一の立法機関」であるが、それより先に「国権の最高機関」であると憲法にはある(四十一条)。この“最高機関”という意味について、「単なる政治的美称」にすぎないという解釈が大勢のようだが、これは間違いである。なぜ、国会が最高機関なのか。それは、国会は国民の代表機関であり、国民の信託を受けて、行政の長たる内閣総理大臣を指名する権限があるからだ(26)。

 

参考3:松下圭一『政治・行政の考え方』

抑制均衡は当然です、問題は明治憲法型をひきついで、行政権つまり内閣・官僚主導の理論を実質温存しているところにあります。その結果、国会はたんなる「立法機関」とみなされ、その「最高機関」性は《美称》になるのです(33)。

日本国憲法では、こうして、国レベルでまず国会が政府の「最高機関」となり、内閣は国家によって構成され、国会に責任をもちます。官僚組織としての行政機構つまり省庁は、国会・内閣によって組織・制御される行政機構です。これが国会内閣制です。基本は国家観念からの出発ではなく、市民からの出発にあります(59)。