yamachanのメモ

日々の雑感や文献のメモ等

将基面貴巳「発題Ⅰ 政治思想史から見たリーダーシップと公共性」(『公共哲学14 リーダーシップから考える公共性』)

中世ヨーロッパ政治思想の観点から、リーダーシップと公共性について検討した論考。著者によれば、リーダーシップを論じる上では、「指導力獲得の様態」と「指導力行使の様態」という二つの視点が基本的な枠組みとなる(2)。 まず、権力「獲得」の態様につ…

後藤玲子「思想をリズムの車に乗せて」『思想2019.4 公共Ⅱ』

〇書式の正統性(3) ・書式の正統性を支えるものは、「真」ではなく、「公」。出来事は書式に載らない限り無いものとされ、書式の載った途端に済んだものとして片付けられてしまう。 ・「公」による忘却は、当事者たちの存在と認識と価値を根底から揺るがね…

成田大起「現代フランクフルト学派の社会批判-ポスト・ハーバーマス時代の批判理論」『思想2019.3 公共Ⅰ』

〇ハーバーマスの批判理論 ハーバーマスの批判理論は一方で日常の生活世界のコンテクストに内在する規範に批判の準拠点を定めることができ、他方で形而上学や歴史哲学ではなく、コミュニケーションを行う前提の不可避性に関する論証を通じて規範の普遍性を掲…

梅田百合香「ホッブズ『リヴァイアサン』における「公共」」『思想2019.3 公共Ⅰ』

『リヴァイアサン」における「公共」を考えるとき、注目すべきは次の点にある。すなわち、社会契約によって諸個人は、自然状態における自己の良心、理性および判断を私的なものとして相対化し、主権者の公的良心、公的理性および公的判断に委ね、これを法と…

マルティン・ゼール「現出する成功-芸術美について-」『思想2019.3 公共Ⅰ』

これらの二つのモチーフ-不-可能性ならびに不自由さ-は委ねることのパトスとエートスの中で一つにされる。その中にハントケに言わせれば芸術美の本来の源泉が見出されるのだ。このことを、芸術家の作為は受動的な能動性である、とわれわれは解釈してよく、…

一ノ瀬正樹「高校新科目「公共」についての哲学的覚書」『思想2019.3 公共Ⅰ』

「公共」とは…多様な立場や意見をぶつけ合った上で、最適解を見つけて確定していく、という手順を学ぶ場なのではないか、と私は理解している。議論を踏まえて意思決定していく、という社会の基本的なあり方を学ぶ場である、ということである。(160) 一つの…

伊藤恭彦「ネット社会とグローバル公共圏の可能性」『思想2019.3 公共Ⅰ』

諸公共圏を結びつけるグローバルな公共圏は、ハーバーマスが捉えた公共圏と質的には異なる。ハーバーマスの公共圏は不断の行政的接触を行い、自らの要求を国民国家政府に表明する公衆の集まりである。「世界社会フォーラム」は諸公共圏を結びつけ、それを通…

神里達博「科学と公共」『思想2019.3 公共Ⅰ』

ポスト・ノーマル・サイエンスの領域は、ハーバーマスの言う公共圏に含まれることが分かるだろう。「公共圏における科学」という視点は、政府や企業などの「システム的な活動」に従属させられがちな科学を、市民的な公共性のシーンに引き戻すための方策を考…

藤原聖子「公共宗教論を規定していたもの-「法律-権利問題化」と「経済-市場原理化」に翻弄される宗教と宗教言説」『思想2019.3 公共Ⅰ』

筆者が言う「原理主義化」は…諸個人が自分の行為が基づく信条や原理に意識的になるよう、規範の圧力がかかっていることを指す。それは…信者だけでなく、広く社会に、宗教を信じるとはそういうことだという理解が拡がる現象である。(97-8) 「公共宗教」とい…

野家啓一「「ポスト真実」時代の知と公共圏」『思想2019.3 公共Ⅰ』

公共圏が民主主義的な合意形成の基礎であるとすれば、それは単に論理的形式式性に立脚するのみならず、生活世界的合理性にも根差すものでなければならないであろう。その生活世界的合理性のことを、ロゴスに対するパトス、ロジックに対するレトリックと言い…

田畑真一「ハーバーマスにおける公共」『思想2019.3 公共Ⅰ』

公共性が自律的なものとして捉え直されたのは、一九八三年から八四年にかけての市民的不服従の是非をめぐる論争に参加した経験が大きい。そこでハーバーマスが見出したのは、単に政治システムによって操作される場ではなく、生活世界の側からシステムの論理…

上野大樹「公共哲学としての政治哲学-変容する共和主義-」『思想2019.3 公共Ⅰ』

古典復興としての政治哲学における共和主義的公共性は、ブルジョワ的公共性モデルの重要な構成要素と考えられてきたいくつもの特徴をすでに持ちあわせている。最大の共通点は、批判的公共性の理念の醸成である。近世革命期の共和派や古典古代の賛美者たちは…

加藤泰史「公共と尊厳-一つの見取り図-」『思想2019.3 公共Ⅰ』

国家が一階の制度化(すなわち、社会契約)によって成立するのに対して、公共は二階の制度化、つまり、「制度化の制度化(Institutionalisierung der Institutionalisierung)を通して確立され維持される。それゆえに公共は、国家とは根本的に位相が異なる。…

加藤泰史「思想の言葉ー公共と批判」『思想2019.3 公共Ⅰ』

和辻の「公共的なるもの」は民衆の「輿論」として具現化されることで、「国家的なるもの」と位相および構造が異なるばかりでなく、それと批判的に対峙することにもなろう。これは「公共」を「同質的なもの」にも「無批判的なもの」にも回収させないための重…

佐藤俊樹『メディアと社会の連環』(マスメディアシステム論に関するメモ)

〇ニクラス・ルーマン『マメディアのリアリティ』 私たちは、私たちが生きる社会、あるいは世界について知っていることを、マスメディアをとおして知っている。(7) マスメディアという概念は、複製のための技術的手段を利用してコミュニケーションを伝播す…

『中庸』第一段第一節を読む

天が人に命じたものが性である。その性に従うこと、それが道である。道を修めること、それが教である。 道は瞬時も離れることができない。離れることができたとしたら、それは道ではない。それゆえ、君子はその見ざるところを慎み、その聞かざるところを恐れ…

1992年以前3つの大画期(「<秩序>の時代」、「<未来>の時代」、「<自己>の時代」)(2025年6月10日 荒野塾 復習)

※宮台真司『私たちはどこから来て、どくへ行くのか』も参照 〇<秩序>の時代(1945~1964) ・現実の評価の物差しは理想秩序(大東亜共栄圏、八紘一宇、世界平和)との距離。秩序肯定的。現在の社会秩序が理想的なものであり、秩序の攪乱は悪なる他者(秩序…

1973年という画期(宮台真司『増補 サブカルチャー神話解体』)(2025年5月20日 荒野塾 復習)

「本書では、戦後サブカルチャーの意味論的な画期をおよそ、1955年、64年、73年、77年、83年、88年、92年に設定する」(宮台真司『増補 サブカルチャー神話解体』10)とあり、第2回『社会意識と社会構造』の中では主に「1973年」の画期(エポック)について…

三島由紀夫「果し得ていない約束-私の中の二十五年」(2025年5月20日 荒野塾 復習)

第2回『社会意識と社会構造』の中で、三島由紀夫の「空っぽの日本」についての言及があったのでメモ。 三島は70年の秋に死んだので73年を知らない。だから三島は、若者と大人に日本人が分断されていることをすごく憂いた。でも、73年以降を知っている私たち…

松本健一の「一九六四年社会転換説」(松本健一『竹内好「日本のアジア主義」精読』)(2025年5月20日 荒野塾 復習)

第2回『社会意識と社会構造』の中で、松本健一の「一九六四年社会転換説」の議論があったので、家にある文献からメモ。 谷川雁が一切の活動をやめて上京した一九六五年に、司馬遼太郎がいわば現代人日本人の理想像として坂本竜馬(『竜馬がゆく』)を提出し…

郊外化に関するメモ(宮台真司×野田智義『経営リーダーのための社会システム論-構造的問題と僕らの未来』)(2025年5月13日 荒野塾 復習)

Jホラー論で郊外化の話が出てきたので、宮台真司×野田智義『経営リーダーのための社会システム論-構造的問題と僕らの未来』に出てくる3段階目の郊外化についてメモ 〇1段階めの郊外化=団地化(1960~)(73) ・地域の空洞化:興奮やお祭り感覚などの「体…

宮台真司『崩壊を加速させよ』(2025年5月13日 荒野塾 復習)

今回の荒野塾でホラー論への言及があったため、宮台真司『崩壊を加速させよ』所収の「『呪怨:呪いの家』「場所の呪い」を描くJホラーVer.2、あるいは「人間主義の非人間性=脱人間主義の人間性」を読む。以下、メモ。 realsound.jp 〇ホラー映画の批評機能…

村松怜「財政と歴史-財政史研究の再評価」(『財政社会学とは何か』)

〇目次 はじめに 1 国家形成と財政-「新しい財政史(new fiscal history)」 1.1「新しい財政史(new fiscal history)」 1.2 ブリュアの「財政=軍事国家」研究 1.3 ボニーらによる財政の歴史的変化に関するモデル 1.4 財政史研究の地域的・時代的広がり …

茂住政一郎「新財政社会学の展開とその成果をめぐって-財政学、公共経済学研究との対比から」(『財政社会学とは何か』)

〇目次 はじめに 1 財政の意思決定をめぐる議論 1.1 資源配分の効率性か、財政をめぐる意思決定か 1.2 国家と納税者との関係性をもとにした整理・分類 1.3 ドイツ財政学と共同体モデル 1.4 最初期の財政社会学と階級国家モデル 1.5 ヴィクセリアン・アプロ…

2025年度予算成立

www.nikkei.com 特徴的なのは石破茂首相が審議に出席した時間が長かったことだ。過去5年で最も長く、特に参院は全体の8割超が首相出席だった。政府・与党が年度内成立を優先するために首相が出席する機会を増やした。 www.nikkei.com 衆参両院での予算案の修…

井手英策「財政学と財政社会学-20世紀に何が問題とされてきたのか」(『財政社会学とは何か』)

〇目次 1 学問を超えてありつづけた「財政社会学」へのまなざし 1.1 財政社会学とは何か 1.2 財政社会学の方法的精緻化とその衰退 1.3 財政社会学のルネサンス? 1.4 援用された財政社会学の<ロジック> 2 財政学の知的伝統と対峙する 2.1 敗戦がといつ財…

『現代思想 総特集:人類学のゆくえ』3月臨時増刊号 2016 VOL.44-5

・久保明教「方法論的独他論の現在-否定形の関係論にむけて」 デカルト以来の西洋哲学の本流において、他者が何を言おうとも確かに存在する自らの思惟をあらゆる学問の基礎とする「方法論的独我論」が採られてきたとするならば、人類学的思考の基調にあるの…

春日直樹「人類学の静かな革命-いわゆる存在論的転換」(春日直樹編『現実批判の人類学』所収)

ストラザーンとラトゥールをつうじて「静かな革命」がいかにポストモダン人類学の問題提起を乗り越えるのかをみるとき、二人が期せずして同時期に導入した革新的な議論を注視せざるをえない。人間と主体に対する徹底して関係論的な認識である。「徹底して」…

リチャード・ローティ「トロツキーと野生の蘭」(『リベラル・ユートピアという希望』所収)

わたしが一二歳の頃、両親の書棚でひときわ目立っていたのは、『レオン・トロツキー裁判』と『無罪』と題された赤い装丁の二巻本であった。…この本は、救済の真理と道徳的な卓越性の光を放つ本であった。… 私は長ずるにつれて、まともな人なら誰もが、トロツ…

朝日新聞連載:問われる民意2024

・第1回:迷走する石破首相と政治の行方、問われるものとは 長谷部×杉田対談(2024年10月10日) digital.asahi.com ・第2回:護憲は保守?政治意識変化、対立軸は二つ 与野党「中道化」の行方は(2024年10月11日) digital.asahi.com ・第3回:有権者の政治…