yamachanのメモ

日々の雑感や文献のメモ等

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

待鳥聡史『政治改革再考』

『政治改革再考』というタイトルからは、具体的な「制度」に着目した内容を想像するが、実際はそうではない。制度内容や制度変遷はもちろんのこと、その背景にあるアイディアについても分析されており、「政治改革の全体像」(5)が描かれているのが本書の魅…

山口尚『哲学トレーニングブック』

「哲学書を読む哲学書」であり「<読むこと>を徹底的に行う」(9)とする本書は、「書物一般」ではなく、「哲学書」を読むことの特異性にフォーカスを当てた良書だ。「本を読む本」や「本の読み方」と称する書物はたくさんあるが、この本は「哲学書」を「読…

リー・マッキンタイア『ポストトゥルース』

2016年、ブレグジット投票とアメリカ大統領選挙を背景に、オックスフォード大学出版局辞典部門が今年の一語にノミネートした「ポストトゥルース」という現象が、世界中の注目を集めた。著者のマッキンタイアは、ポストトゥルースとは「何か」を問うとともに…

井奥陽子『バウムガルテンの美学-図像と認識の修辞学』

美しい装丁が印象的な本書で扱われているのはバウムガルテン、名前こそ知っているが、「どこか顔が見えないところがある」(ⅳ)人物だ。そして、本書のテーマである「美学」についても、「バウムガルテンの空白のイメージが象徴しているように、学科としての…

ロバート・ブランダム『プラグマティズムはどこから来て、どこへ行くのか』

現代プラグマティズムを代表する思想家であるロバート・ブランダムが、邦訳タイトルが示している通り、プラグマティズムの過去から未来を描き出した、重量級の書物だ。ブランダム自身は序章において次のように語っている。 ドイツ観念論において際立っている…