yamachanのメモ

日々の雑感や文献のメモ等

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ヘーゲル研究会メモ

参加させていただいている、ヘーゲル『精神現象学』を読む研究会で議論になって気になったことをメモ。 ①aufhebenについて 『精神現象学 上』の51ページに、「廃棄〔止揚、以下頻出する廃棄の場合も同様〕」という記述があり、aufhebenの意味や解釈について…

明晰な思考に従事すること

フィヒテの『ドイツ国民に告ぐ』関連の話題をもう一つ。 フィヒテ全集 第17巻 ドイツ国民に告ぐ・政治論集 作者: ヨーハン・ゴトリーブ・フィヒテ,ラインハルト・ラウト,早瀬明 出版社/メーカー: 晢書房 発売日: 2014/11 メディア: 単行本 この商品を含むブ…

フィヒテから学ぶ学問に対する誠実さ

学者が、最近の政治状況を批判している様子を見て思い出すのが、フィヒテの『ドイツ国民に告ぐ』である。 フィヒテ全集 第17巻 ドイツ国民に告ぐ・政治論集 作者: ヨーハン・ゴトリーブ・フィヒテ,ラインハルト・ラウト,早瀬明 出版社/メーカー: 晢書房 発売…

財政関連の本について

お仕事のために、大橋洋一『都市空間制御の法理論』を本の山から取り出したときに、面白い本が出てきたのでメモ。 まず、先日購入した『代表制民主主義-「民意」と「政治家」を問い直す』の著者・待鳥聡史氏の著作、『<代表>と<統治>のアメリカ政治』と…

『メディアと自民党』から「政治」を学ぶ

西田亮介『メディアと自民党』を読んだ。一言で感想を言えば、これまで-現代-これからの政治を考える上で重要だし、分析としても素晴らしい本だから、是非多くの方に読んでほしい。 メディアと自民党 (角川新書) 作者: 西田亮介 出版社/メーカー: KADOKAWA…

『<日本哲学>入門講義』を読む

仲正昌樹『<日本哲学>入門講義-西田幾多郎と和辻哲郎』を読んだ。本書自体が分厚いし、西田幾多郎『善の研究』と、和辻哲郎『人間の学としての倫理学』を手元に読んだこともあって、少し時間がかかってしまった。 〈日本哲学〉入門講義 作者: 仲正昌樹 出…

お買いもの『メディアと自民党』他

昨日は新書をまとめて購入。西田亮介『メディアと自民党』、待鳥聡史『代議制民主主義-「民意」と「政治家」を問い直す』、仲正昌樹『ハイデガー哲学入門-『存在と時間』を読む』の3冊。 メディアと自民党 (角川新書) 作者: 西田亮介 出版社/メーカー: KAD…

お買いもの思案『ジェイムズの多元的宇宙論』

哲学書を読む講義を受講した記憶がないので、そのトレーニングの一環として、仲正昌樹『<日本哲学>入門講義-西田幾多郎と和辻哲郎』を読んでいる。 作品社から出版されている仲正昌樹氏の著作が面白いところは、読書案内の他にも、本文の中にさらっと研究…

「ヘーゲルの経験概念」を読む⑤

『精神現象学』の「緒論」第5段落は短い。でも、本段落には、「現象する知」「自然的意識の道」「魂」「経験」「精神」等の概念が出てくる非常に重要な段落。ハイデガーは次のように説明する。 現れ出る知を展示することとは、自然的な意識が学に至る道程の…

『正義について考えよう』を読む

猪瀬直樹・東浩紀『正義について考えよう』を読んだ。 正義について考えよう (扶桑社新書) 作者: 猪瀬直樹,東浩紀 出版社/メーカー: 扶桑社 発売日: 2015/11/01 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 安保法制や新国立競技場問題等の個別テーマについ…

『最前線のリーダーシップ』から学ぶ

数年前から気になっていたけど読まずにいた、ロナルド・A・ハイフェッツ/マーティ・リンスキー『最前線のリーダーシップ』をついに読んだ。 最前線のリーダーシップ 作者: マーティ・リンスキー,ロナルド・A・ハイフェッツ,竹中平蔵 出版社/メーカー: ファ…

お買いもの『三島由紀夫の言葉』

そういえば、昨日、本を買っていた。佐藤秀明編『三島由紀夫の言葉-人間の性』。 三島由紀夫の言葉 人間の性 (新潮新書) 作者: 佐藤秀明(編) 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/11/13 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 新潮文庫の表紙…

小西砂千夫の本を読む日曜日

小西砂千夫氏を知ることになったのは、働き始めたときに、父親から「この本は読んでおいた方がいい」と、『地方財政改革の政治経済学』を勧められたことがきっかけである。 地方財政改革の政治経済学―相互扶助の精神を生かした制度設計 作者: 小西砂千夫 出…

哲学は無益だが統治する知

ハイデガー「ヘーゲルの経験概念」を読んでいて、「知」「学」「哲学」といったものについてあらためて考えるようになった。そんな時に、ふと『ハイデッガー全集第45巻 哲学の根本的問い-「論理学」精選「諸問題」』を手にした。 哲学の根本的問い 「論理学…

ハイデガー「ヘーゲルの経験概念」を読む④

最近はいろいろと忙しくて、ゆっくりと読書をする時間がなかった。特に、『精神現象学』「緒論」の四段落は重要な箇所でであるため、「ヘーゲルの経験概念」の当該箇所も、じっくりと読まなくては、と思っていたら、メモがすっかりと遅くなってしまった。 さ…

お買いもの『正義について考えよう』

今日は仕事帰りに、とある本屋へ。僕が大好きな社会科学や哲学等の専門書は置いていないけど、その本屋にはその本屋なりの面白さがある。そこで発見した新書二冊を購入。猪瀬直樹・東浩紀『正義について考えよう』、横山雅彦『完全独学!無敵の英語勉強法』…

お買いもの『ティマイオス/クリティアス』

自分へのご褒美に何か本を買いたいなーと、ふらりと立ち寄った本屋でたまたま見つけた一冊。プラトン『ティマイオス/クリティアス』。 ティマイオス/クリティアス 作者: プラトン,岸見一郎 出版社/メーカー: 白澤社 発売日: 2015/10 メディア: 単行本 この…

佐々木常夫『ビッグツリー』から学ぶ「仕事の進め方10か条」

仕事や人生で苦難に直面した時に読む本の一冊に、佐々木常夫『ビッグツリー』がある。 完全版 ビッグツリー~自閉症の子、うつ病の妻を守り抜いて~ 作者: 佐々木常夫 出版社/メーカー: WAVE出版 発売日: 2012/01/24 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 11…

山口周の著作は面白い

今日読んだのは、山口周『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』。 外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術 作者: 山口周 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2015/10/17 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 以前、同著者…

ハイデガー「ヘーゲルの経験概念」を読む③

ハイデガーは、「絶対的なもののみが真である。真なるもののみが絶対的である」という命題は「基礎づけることが出来ない」と指摘する(157)。 それらの命題は基礎づけられ得ないものである。それらが定立しているのは、それ自身初めて根拠となるところのもの…

お買いもの『文学のミニマル・イメージ』

よくある今年の○○冊という記事を(そのうち)書くために、購入した書籍もアップすることにした。今回掲載するのは、一昨日、西宮ガーデンズのブックファーストで購入した書籍。 文学のミニマル・イメージ モーリス・ブランショ論 (流動する人文学) 作者: 郷…

ハイデガー「ヘーゲルの経験概念」を読む②

今回は、ヘーゲル『精神現象学』「緒論」の第二段落を解説した箇所のメモ。第二段落は短く、理解していたつもりだったけど、「ヘーゲルの経験概念」の当該部分の解説は難しい。でも、ハイデガーが扱っているテーマ自体はとても興味深いので、読み進めていく…

SEALDs関連本の読書メモ

ずっと読もうと思っていたけど、なかなか読めずにいたSEALDs関連の本をようやく読むことができた。高橋源一郎 × SEALDs『民主主義ってなんだ?』と、SEALDs『SEALDs 民主主義ってこれだ!』の二冊だ。 民主主義ってなんだ? 作者: 高橋源一郎,SEALDs 出版社/…

ハイデガー「ヘーゲルの経験概念」を読む①

ある研究会でヘーゲル『精神現象学』を読むことになったので、最近ヘーゲル関連の著作を読むようにしている。そして、「緒論(Einleitung)」を読み終えたところで、平凡社ライブラリー版『精神現象学』の「緒論」の本文(112-113)や末尾(119)で紹介されて…