経済学
副題に「ルソーからピケティまで」とあるように、不平等の歴史的な展開を紐解いている。さらに、「経済学以前の政治思想から始めて、現代の経済学までにいたる不平等分析を主としてその理論面に焦点を当てて概観してきました」(244)と著者の稲葉氏自身も述…
稲葉振一郎氏は、「新自由主義=新保守主義は、内政、社会経済政策における『小さな政府』論、市場原理主義と、外交におけるタカ派リアリズムとの混合物である」という「ケインズ主義の黄昏とネオリベラルの勝利のお話」(69)を批判的に捉えることから、リ…
「脱成長コミュニズムという妖怪が日本を闊歩している」(144)-このように語る著者は、斎藤幸平『人新世の「資本論」』が資本主義後の明確なビジョンを示したことを評価しつつも、「問題は脱成長コミュニズムが本当に資本主義に代わりうる選択肢なのか」(…
実に痛快かつ明快な一冊だ。著者は、本書の冒頭で読者にこう問いかけている。 温暖化対策として、あなたは、なにかしているだろうか。レジ袋削減のために、エコバッグを買った?ペットボトル入り飲料を買わないようにマイボトルを持ち歩いている?車をハイブ…
次期首相候補の一人、菅官房長官が「自助・共助・公助」を唱える今、「公助が酷薄な現代世界を生きるには、何より未完のプロジェクトとしての「強い個人」の育成強化とその自助を前提とした共助しか残されていないとする立場とも異なる」(9)理念を持つ本書…
ハイエクが語る「思想の力」は、これからの「リベラル」を考える上でも重要だと思うのでメモ。 実際、目下のところ、自由社会のさらなる発展のための哲学的基礎付けという不可欠な作業ほど報われないものは他にないだろう。この作業にとりくむ者は、既成秩序…
ハイエクを読んでいく中で、やはり伝記のようなものを読みたいと思い、ラニー・エーベンシュタイン『フリードリヒ・ハイエク』を読んでいる。以下、ハイエクの知的エリート主義についての記述をメモ。 『通貨国家主義と国際的安定性』の中で、ハイエクは純粋…
『ハイエク、ハイエクを語る』の中で、ハイエクがシュンペーターの理論とハイエク自身の理論との関係について語っている箇所が興味深いのでメモ。 予言の性格がどこか似ています。しかしシュンペーターはパラドクスを心から楽しんでいるのです。彼は、資本主…
小泉信三『平生の心がけ』を読んでいて、興味深い箇所を発見。 平生の心がけ (講談社学術文庫) 作者: 小泉信三 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1988/11/07 メディア: 文庫 クリック: 6回 この商品を含むブログ (7件) を見る 本当にその通りと思うところな…
4月末の出版ラッシュ。 まずは、國分功一郎『民主主義を直感するために』。 民主主義を直感するために (犀の教室) 作者: 國分功一郎 出版社/メーカー: 晶文社 発売日: 2016/04/28 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 佐藤優氏が絶…
購入していた本のメモ。 板橋勇仁『底無き意志の系譜-ショーペンハウアーと意志の否定の思想』。 底無き意志の系譜: ショーペンハウアーと意志の否定の思想 作者: 板橋勇仁 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 2016/02/29 メディア: 単行本 この商品…
最近はバタバタしていて、色々とさぼり気味。そして、疲れてくると考えなくてよい不安や悩みが襲ってくる。いや、疲れに甘えるからこそ、そういうものに囚われてしまうのかも…。 とりあえず、購入していた本をメモ。 まずは、宮本太郎・山口二郎編『リアル・…
本屋に行くと、「よみがえるヘーゲル!」という文字が飛び込んできた。それは、ロバート・ブランダム『推論主義序説』。 推論主義序説 (現代哲学への招待 Great Works) 作者: ロバート・ブランダム,丹治信春,斎藤浩文 出版社/メーカー: 春秋社 発売日: 2016/…