2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧
本論文では、ジョン・ロールズ、ロナルド・ドゥオーキン、ジョセフ・ラズに依拠して、リベラリズムと卓越主義の関係が論じられている。 ロールズの政治的リベラリズムは「民主的社会に現存する重複的合意」に由来するものであり、包括的な善き生の教説には踏…
批判の標的となっているはリベラリズムは批判しやすいように単純化・戯画化された「ダミー」であり、「生身のリベラリズム」は「内部に分裂・緊張・葛藤を抱え、多様な方向への自己変容のポテンシャルを内包している」(10)と、井上達夫氏は指摘する。そし…
リベラル再起動のために、まずは広く横につながることが大切であるが、そのためには最低限共有できる点を確認する必要がある。北田暁大氏・白井聡氏・五野井郁夫氏の三者が同意できることは、以下の点である(116-7)。 ・リベラリズムにおいては機会の平等…
井上達夫氏は、リベラリズムの歴史的源泉は「人間が理性によって因習や偏見から自己を解放する」啓蒙と、「宗教観や価値観が違っても共存の可能性を探る」寛容であると指摘している(74)。そして、「その哲学的基礎は単なる自由でなく、「他者に対する公正…
伊藤恭彦氏によると、「現代リベラリズムの規範の根幹は、個人の自由の拡大を反権力あるいは反介入政策と結びつけるのではなく、個人の福祉の向上に対して政府や社会が責任をもつべきであると考えと結びつける点にある」(5)とのことである。そして、現代リ…
本書において、宮台真司氏はリベラリズムの「端的な事実性」を説いている。端的な事実性とは、「「人間とはこの範囲だ」とか「我われとはこの範囲だ」といった区別の線引きについての事実性」のことであり、「こうした事実性なくして機能しない」(64)とし…
宮台真司氏は、ジョン・スチュアート・ミル『自由論』を挙げて、「リベラリズムとは、個人の尊厳を与える、愚行を含めて自己責任でなされる自由な試行錯誤を保証するような社会制度に、価値的にコミットする思想的態度を示すもの」(17)と説明している。ポ…
東浩紀氏は、自由の概念を「所有権にもとづいたリバタリアニズム的なものと、社会の異種混淆性や他者への開放性を重視するリベラリズム的なもの」(168)に分ける。前者が他者の迷惑にならない限りは何をやってもよいという自由で、後者が他者のことも考えて…