2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧
北田暁大氏は、「リベラリズム」のアイデンティティについて、「「問い」のレベルでの共通性に同一性の「根拠」を見いだす」(163)井上達夫氏の議論に注目している。井上氏によると、「リベラリズムの自同性の根をなす問い」とは「善から区別された社会構成…
北田暁大氏は、近代リベラリズムを特徴づけるものとして、「私的所有、自己決定、自律といった個人主義的な契機」と、「市場主義(自己調整機能への着目)」を取り上げている(79)。それは以下のように分類される*1。 私的所有:ジョン・ロック『市民政府論…
浅羽通明氏は、「個人の独立の伸長を何より尊重し、そのための手続き、手段として法の尊重と権力の必要を認める」(72)といったリベラルの基本を、福澤諭吉が『学問のすゝめ』において宣言していたことを指摘している。そして、福澤は経済的自立と精神的自…
稲葉振一郎氏は、「新自由主義=新保守主義は、内政、社会経済政策における『小さな政府』論、市場原理主義と、外交におけるタカ派リアリズムとの混合物である」という「ケインズ主義の黄昏とネオリベラルの勝利のお話」(69)を批判的に捉えることから、リ…
佐伯啓思氏は、進歩主義の理念を纏ったリベラリズムが支配的イデオロギーとなっていることを指摘している。進歩主義には次の二つの柱がある、 (1)西欧近代社会が生み出した自由や平等、人権、個人主義(個人の尊厳)、幸福への欲求などは普遍的価値をもつ…
大澤真幸氏は、リベラリズムを「自由を、(他者の同様な)自由とは異なる根拠によって抑圧すべきではないとする思想」(46)と定義し、リベラリズムの理念として「個人がこの経験的世界で帯びる偶発的な性質を無化し、還元すること」(48)を提示している。 …
櫻田氏は「保守派」と「リベラル派」との対立の焦点を、「近代国家の枠組み」に依拠して説明している。 保守派は近代国家としての枠組みが敗戦と占領によって著しく損傷されたと考え、この「損傷」の修復を問題意識の中心においてきた。その修復の具体的な内…