yamachanのメモ

日々の雑感や文献のメモ等

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

百木漠『嘘と政治-ポスト真実とアーレントの思想』

百木漠『嘘と政治-ポスト真実とアーレントの思想』は、タイトルが示すように、森友学園問題や加計学園問題、自衛隊の日報破棄・隠蔽問題等といった、近年の「嘘と政治」を巡る状況について、ハンナ・アーレントの思想を手がかりに考察したものである。『ア…

吉川貴代『はじめてでも乗り切れる!公務員の議会答弁ガイド』

管理職デビュー、議会出席デビュー、答弁デビューの経験を語りつつ、これからデビューを迎える職員に向けて書かれた議会答弁の指南書である。各自治体によって制度や慣例で異なるところはあるかもしれないが、本書で説明されている議会の知識や議会答弁のノ…

ショーペンハウアーとデリダの哲学(『倫理学の二つの根本問題』『絵画における真理』)

〇『ショーペンハウアー全集9』 将来のいつか、わたしの著作が人びとに読まれるという時代が訪れるなら、わたしの哲学とはいわば百の市門をもつテーベの都であることが明らかになるであろう。いずれの方角からも入場が可能であり、どの門を通ってもまっすぐ…

高橋陽一郎『藝術としての哲学-ショーペンハウアー哲学における矛盾の意味』

ショーペンハウアー哲学の研究書として、そして「藝術としての哲学」に関する研究書として優れた一冊だ。著者の高橋陽一郎氏は各方面で、ショーペンハウアーの意志論や藝術論、そして遺稿の哲学等を論じてきたが、これらの研究の成果がこの一冊で一つの作品…

林誠『my公務員BOOK「係長」』

所沢市職員であり、数多くの書籍を出版している林誠さんの新著は、係長に求められる役割、スキル、心構えを説く本だ。必要に応じて記録やメモができるようになっており、自分だけのノートとして活用できる仕組みになっている。 本書を読み始めて印象的なこと…

訴訟代理権消滅通知書について(民事訴訟法)

〇民事訴訟法 (法定代理権の消滅の通知)第三十六条 法定代理権の消滅は、本人又は代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。2 前項の規定は、選定当事者の選定の取消し及び変更について準用する。 →よって、裁判所及び相手方へ訴訟代理権消…

後藤好邦『『知域』に1歩飛び出そう!ネットワーク活動でひろがる公務員ライフ』

山形市職員で、「東北まちづくりオフサイトミーティング」を発足した後藤好邦さんが、「つながり」をキーワードに、さまざまな事例や自身の活動を交えつつ、これからの公務員の価値・可能性を描いた本。本書のタイトルにもある「知域」について、著者は次の…

カントとショーペンハウアーの「感性」「悟性」「理性」(『意志と表象としての世界』訳者注)

カントは感性を直観の能力とし、悟性を思惟の能力としたが、ショーペンハウアーは悟性を直観の能力と考えている。カントによれば、悟性は人間が概念を用いて思惟する能力のことであるが、ショーペンハウアーによれば、概念を用いる能力はもっぱら理性のみで…

指定代理人について(鈴木潔『強制する法務・争う法務』)

自治体の場合には、自治体の長や公営企業の管理者などが訴訟行為の代表機関となる。実際の訴訟遂行を担うのは、次のような訴訟代理人である。①指定代理人(自治法153条1項に基づき地方公共団体の職員に庁の権限に基づく事務を代理させる)、②弁護士(民訴法5…