yamachanのメモ

日々の雑感や文献のメモ等

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

西岡晋『日本型福祉国家再編の言説政治と官僚制-家族政策の「少子化対策」化』

本書は、日本型福祉国家における1990年代の家族政策の転換を、言説政治論の枠組みから分析している。日本型福祉国家とは「家族主義の理念と高齢者偏重型の政策体系をもつこと」(1)であり、それと相容れない家族政策は周縁化されてきた。その代表例が、本書…

大井赤亥『現代日本政治史-「改革の政治」とオルタナティヴ』

「黄昏を待ちきれなかったミネルヴァの梟」*1として現実政治に飛び込んだ著者が、「改革の政治」を軸に日本政治を振り返り、現状を打破するためのオルタナティヴを提示している。本書のキーワードである「改革の政治」とは、「強いリーダーシップによって行…

マルクス・ガブリエル『つながり過ぎた世界の先に』

「哲学界のロックスター」とも呼ばれているマルクス・ガブリエルが、「人とウイルスのつながり」「国と国とのつながり」「個人間のつながり」という3つの「つながり」を軸に現代を捉え、これからの世界のビジョンを示している。コラムでは、「哲学者と現代…

カトリーヌ・マラブー『抹消された快楽-クリトリスと思考』

「哲学において、女の快楽は一度も問われていない」(16)と語るカトリーヌ・マラブーの新著は、副題にもある「クリトリス」を探求し、「女性的なもの」を論じるものだ。「私は何かを証明するつもりはなく、ただ、複数の声が聞こえるようにしたい」(10)と…