2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「共同体・権力・争点の三位一体からなる政治のコンテンツがグローバルな環境と個人的な文脈によって各国でどう崩壊し、それとともに、それぞれがどのような変化を見せているのかを特定する」(29)ことを目的として本書は、帯にもあるように「不安なくらい…
実に痛快かつ明快な一冊だ。著者は、本書の冒頭で読者にこう問いかけている。 温暖化対策として、あなたは、なにかしているだろうか。レジ袋削減のために、エコバッグを買った?ペットボトル入り飲料を買わないようにマイボトルを持ち歩いている?車をハイブ…
「新型コロナウイルスの流行は、フーコーの思想が持つ力を再度示したと言えるだろう」(16)と多くの人が思っているところに、重要なフーコーの研究書が出版された。著者は「時代の趨勢から微妙な距離を取ることで、フーコーの思想は結果的に、その後明らか…
宇野常寛氏は、「平成とは「失敗したプロジェクトである」」と述べ、「政治」(二大政党制による政権交代の実現)と「経済」(20世紀的工業社会から21世紀的情報社会への転換)の「改革」のプロジェクトが失敗した時代として「平成」を位置づけた(『遅いイ…
まちあるきのツアー本だが、本書を読んで思い浮かべた哲学者がいる。そのうちのひとりがジャック・デリダだ。なぜか?それはツアーのプログラムに組み込まれた短編小説の内容と、小説に出てくる「相田家」の設定による。その設定とは、「相田家は、典型的な…
「『なぜ世界は存在しないのか』の内容を踏まえ、ガブリエルに基本的かつ本質的な疑問を投げかけている」(19)インタビューとのことであるのでメモ。 ○ガブリエルの哲学上の立場 ガブリエル:私はきわめて伝統に忠実な現代の哲学者です。…私はただ理性その…
次期首相候補の一人、菅官房長官が「自助・共助・公助」を唱える今、「公助が酷薄な現代世界を生きるには、何より未完のプロジェクトとしての「強い個人」の育成強化とその自助を前提とした共助しか残されていないとする立場とも異なる」(9)理念を持つ本書…
マルクス・ガブリエルの哲学に対して、その批判点を本人へ直接質問している大変面白く、勉強になる千葉雅也氏との対談「「新実在論」「思弁的実在論」の動向をめぐって」(『ニュクス 5号』所収)のメモ。 ○相対主義の実在論化 千葉:あなたの理論では、実在…