仕事
行政学を学ぶ意義は、行政職員になるためではない。医学を学んで医師になり、法律学を学んで弁護士なることはあっても、行政学を学んだことは行政職員なることには、ほとんど繋がらない。勿論、行政学を学んだ人が行政職員になることはあるかもしれない。し…
「未契約の工事費を次年度に繰り越すことはおかしいので、増額予定があるなら変更契約してから繰り越してください」-ある年度末の手続きの中で、財政担当課からこのように言われたことがある。「そもそも『繰越し』ということ自体が例外的なもので、変更契…
予算要求の作業は秋以降となるが、概算要望(政策調整・ローリング等)の作業は4月から準備を進める必要がある。また、予算要求の時期になると、その業務に追われることになるから、事前に予算要求のノウハウを理解しておいた方がよいだろう。最近出版された…
「異動するのが不安…」。毎年のことながら、この時期には多くの自治体職員が抱える悩み。この悩みを解消し、「うまく異動できる」(3)ためにおススメするのが、堤直規『公務員の「異動」の教科書』である。 堤氏は、「様々な部署への異動を重ねる中で、いか…
僕たちの自治体では、昇任試験のなかに、筆記試験での小論文の他、自宅論文というものがあった。自身で論文を作成することになっているのだが、ほとんどの職員が、提出するまでの間に、課長などの上司に添削してもらっていた。そのため、受験する職員の「能…
ここ数年、毎年この時期になると、昇任試験対策の勉強会を開催している。労働組合の活動の中で「組合独自の学習会の一つとして、昇任試験対策の勉強会を開催してほしい」と頼まれたことがきっかけだ。 思い返してみると、僕は昇任試験を受ける予定はなかった…
近年の土地基本法の改正や土地関連法の整備を見渡しつつ、これら土地政策の根源にある課題は、「所有権の絶対的自由」(31)にあると五十嵐氏は指摘する。公共の福祉の観点から、旧土地基本法は「絶対的土地所有権」を制限し、新土地基本法は「管理」を強化…
『残業ゼロで結果を出す 公務員の仕事のルール』、『ストレスゼロで成果を上げる 公務員の係長のルール』等の著者である秋田将人さんによる学陽書房からの待望の新著である。学陽書房が出版している秋田さんのどの著作も、実務に直結して役立つものが多い。…
1 民法の性質*1(1)民法は私法の一つである 公法とは、国や公共団体の内部や相互間の関係を規律するルール、および、それらと私人との関係を規律するルール。私法とは私人相互間の関係を規律するルール。 (2)民法は一般法である 上記の商法等(特別法…
元自治体職員で地域情報化アドバイザーとして自治体の情報化に携わってきた髙橋邦夫さんが、「自治体DX推進のヒント」(ⅱ)を語っている。「はじめに」で指摘しているように、「デジタル化に則した働き方に変えるためには、規則や要綱の改正とともに、職員の…
「みんなたこつぼのなかにいる」(30)-著者のこの言葉にうなずかざるを得ないという人も少なくないだろう。この「「分担」による「分断」」(131)を解消し、「一つの目的のために一緒に物事をする」という「連携」(131)が、今の公務員には必要とされて…
この時期になると、当初予算の要求に加え、国の経済対策としての補正予算にあわせた、自治体での補正予算編成事務が生じてくる。ここでの補正予算とは、いわゆる「15か月予算」のことであり、「予算の前倒し」としても表現される。 財政部局の立場としては、…
大阪府知事・大阪市長として様々な決断を下し、組織を動かしてきた橋下徹氏が「意思決定の技法」(5)を論じている。本書で語られている内容は、実務においてリーダーシップを発揮する上で、また、危機管理へ対応する上でも役立つ。 橋下氏は、正義の考え方…
「成功とは強い意志力と抵抗に打ち勝つ力の産物ではなく、最初から抵抗を発生させない仕事環境の成果である」(50)-本書はそのために、副題にもある「メモ」を始めることを推奨し、その方法論を論じている。そして、この仕事術のモデルとなるのが、ニクラ…
「自治体戦略2040構想研究会」の報告書で示された「半分の職員数でも担うべき機能が発揮される自治体」、本書はこの背景にある人口減少社会における自治体の人事戦略について、具体的な実践事例や取組みを交えて論じている。 職員・労働力不足への対応として…
本書はタイトルからも推察できるように、地方公務員として必要なデータ活用力について論じている。しかし、本書の特徴は、データを活用するためのPCの操作方法や数値の扱い方のみ紹介するのではなく、「データ」をテーマとして組織のあり方や仕事との向き合…
本書は、日本型福祉国家における1990年代の家族政策の転換を、言説政治論の枠組みから分析している。日本型福祉国家とは「家族主義の理念と高齢者偏重型の政策体系をもつこと」(1)であり、それと相容れない家族政策は周縁化されてきた。その代表例が、本書…
奈良県生駒市長で多数の書籍も出版している、小紫雅史氏の新著は、『市民と行政がタッグを組む!生駒市発!「自治体3.0」のまちづくり』から発展しつつ、キャリアデザインの観点から、公務員の「在り方」「生き方」を説いている。個人的に関心を持った箇所か…
「「仕方がない」と諦めてしまうのではなく、「仕方がある」ことを知り、小さな行動を起こそうと思える」(1)、本書はこの「大きな」一歩を踏み出すためのきっかけを与えてくれる。その方法が、タイトルにもなっている「コミュニティ・オーガナイジング」で…
「国・都・区という3つのステージで実務に携わり、10年以上管理職として文章を書いてきた」(3)現役公務員による、文章の書き方の実践本。例文を紹介しながら、添削指導する形式で解説しているため、大変わかりやすい。文章の書き方を学ぶ研修がない自治体…
様々な活動をしながら大学在学中に司法試験予備試験に合格、翌年司法試験に一発合格をしたという実績を持つ、小松詩織さんによる勉強法が描かれた一冊。短答対策、論文対策、論文答案作成、予備試験口述対策、それぞれの「ベストプラクティス」が説明されて…
本書は、公務員が「自分らしく主体的に働く」(2)ために役立つ行動や考え方を、「仕事」「人間関係」「心のあり方」「プライベート時間」「キャリア」という5つの「デザイン」の観点から論じている。「全体の奉仕者である公務員が自分らしく主体的に働くに…
『公務員1年目の教科書』や『公務員ホンネの仕事術』等、公務員の働き方に関する著作を多数出版している堤直規さんによる新著は、公務員の育成方法や育成することの意義を解説している。 本書は、「初めて新人を指導することとなった若手向け」「指導・育成…
公用文のルールである「公用文作成の要領(昭和27年内閣官房長官依命通知別紙)」の見直しについて検討が行われ、「新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)」が公表された。本書はこの報告書に沿って公用文の書き方を解説している。 第1章 公用文の分類…
管理職デビュー、議会出席デビュー、答弁デビューの経験を語りつつ、これからデビューを迎える職員に向けて書かれた議会答弁の指南書である。各自治体によって制度や慣例で異なるところはあるかもしれないが、本書で説明されている議会の知識や議会答弁のノ…
所沢市職員であり、数多くの書籍を出版している林誠さんの新著は、係長に求められる役割、スキル、心構えを説く本だ。必要に応じて記録やメモができるようになっており、自分だけのノートとして活用できる仕組みになっている。 本書を読み始めて印象的なこと…
〇民事訴訟法 (法定代理権の消滅の通知)第三十六条 法定代理権の消滅は、本人又は代理人から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。2 前項の規定は、選定当事者の選定の取消し及び変更について準用する。 →よって、裁判所及び相手方へ訴訟代理権消…
山形市職員で、「東北まちづくりオフサイトミーティング」を発足した後藤好邦さんが、「つながり」をキーワードに、さまざまな事例や自身の活動を交えつつ、これからの公務員の価値・可能性を描いた本。本書のタイトルにもある「知域」について、著者は次の…
自治体の場合には、自治体の長や公営企業の管理者などが訴訟行為の代表機関となる。実際の訴訟遂行を担うのは、次のような訴訟代理人である。①指定代理人(自治法153条1項に基づき地方公共団体の職員に庁の権限に基づく事務を代理させる)、②弁護士(民訴法5…
自治体の会計事務について、イラストを交えつつ、わかりやすく説明した一冊。本書はまず、「会計課の仕事の目的」として次のように述べる。 会計課は、何か直接、住民の福祉に寄与しているわけではありません。会計課は「縁の下の力持ち」-間接的に、「住民…