yamachanのメモ

日々の雑感や文献のメモ等

2024-01-01から1年間の記事一覧

金井利之『行政学講説』まえがき

行政学を学ぶ意義は、行政職員になるためではない。医学を学んで医師になり、法律学を学んで弁護士なることはあっても、行政学を学んだことは行政職員なることには、ほとんど繋がらない。勿論、行政学を学んだ人が行政職員になることはあるかもしれない。し…

予算の繰越しについて

「未契約の工事費を次年度に繰り越すことはおかしいので、増額予定があるなら変更契約してから繰り越してください」-ある年度末の手続きの中で、財政担当課からこのように言われたことがある。「そもそも『繰越し』ということ自体が例外的なもので、変更契…

伊藤潤一郎『「誰でもよいあなたへ」-投壜通信』

「特定の二人称以外に言葉が流れつく先は、誰でもよい誰かだけでなく、誰でもよいあなたでもありうるのではないか」(71)-タイトルにもなっているこの「誰でもよいあなた」という「不定の二人称」について、多数の固有名と日常の出来事を折り込みながら言…

山本圭『嫉妬論-民主社会に渦巻く情念を解剖する』

「嫉妬はいち個人の問題だけでなく、広く政治や社会全体にもかかわるものだ」(21)。この「やり過ごすことのできない嫉妬」(236)という問題を、著者は学問横断的に探求していく。 本書を読み進めていくと、自分がいかに嫉妬に振り回されているかを実感し…

ショーペンハウアーの「意志」概念について

鳥越覚生『佇む傍観者の哲学―ショーペンハウアー救済論における無関心の研究―』合評会に参加。 全体討論で話題になった「意志」概念についてメモ。 ショーペンハウアー『意志と表象としての世界Ⅱ』 意志は、純粋にそれ自体として見れば、認識を欠いていて、…