yamachanのメモ

日々の雑感や文献のメモ等

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

宮澤正泰『はじめての自治体会計0からBOOK』

自治体の会計事務について、イラストを交えつつ、わかりやすく説明した一冊。本書はまず、「会計課の仕事の目的」として次のように述べる。 会計課は、何か直接、住民の福祉に寄与しているわけではありません。会計課は「縁の下の力持ち」-間接的に、「住民…

鎌田康男・齋藤智志・高橋陽一郎・臼木悦生[訳著]『ショーペンハウアー哲学の再構築』

『充足根拠律の四方向に分岐した根について』(第一版)訳解 ・意識の法則 <われわれの意識>は感性、悟性または理性として現れる。この意識は、<主観>と<客観>とに分かれており、それ以外の要素は含まれない。<主観にとっての客観>であるということ…

「超越論的」という訳語について

「Transzendental」に「超越論的」という訳語を与えたのは『「いき」の構造』(一九三〇年)の哲学者九鬼周造(一八八八-一九四一)であるが、たんに「超越」ではなく、「論」が付加されているところに九鬼の工夫があった。つまり、中世哲学や講壇哲学の場…

カント『永遠平和のために』読書会メモ

ソーシャルディア主催の読書会に参加。以下、議論になったことも含め、今後の勉強用にメモ。 ・カントの軍事思想について A=兵役は職業軍人が中心的に担うが(常備軍制)、国民全体の義務でもある(徴兵制)。B=兵役は職業軍人が担うものであり(常備軍制)…

寺田俊郎『どうすれば戦争はなくなるのか』

寺田俊郎『どうすれば戦争はなくなるのか』は、カント『永遠平和のために』の読解を通じて、カント哲学とその現代的意味を問うものである。著者は、『永遠平和のために』を読むことで、カントの実践哲学と歴史哲学、さらにはカント哲学全体のエッセンスに触…

カント『永遠平和のために』

序章(148) 第一章 国家間に永遠の平和をもたらすための六項目の予備条項(149) 一 将来の戦争の原因を含む平和条約は、そもそも平和条約とみなしてはならない。(149) ニ 独立して存続している国は、その大小を問わず、継承、交換、売却、贈与などの方法…

マーティン・ジェイ、日暮雅夫共編『アメリカ批判理論-新自由主義への応答』

マーティン・ジェイ、日暮雅夫共編『アメリカ批判理論-新自由主義への応答』は、現代において批判の対象とはなるもののその実態を捉えがたい「新自由主義」について、アメリカ批判理論の立場から論じるものだ。本書の特徴を、編者の一人である日暮雅夫は、①…

山本圭『現代民主主義-指導者論から熟議、ポピュリズムまで』

山本圭『現代民主主義-指導者論から熟議、ポピュリズムまで』は、多様な観点から「政治」、そして「民主主義」を問うてきた著者が、「民主主義はどのように語られ、理論化されてきた」(ⅳ)のかを論じた、コンパクトにして濃厚な内容になっている。まずは序…