yamachanのメモ

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金井利之『行政学講説』まえがき

行政学を学ぶ意義は、行政職員になるためではない。医学を学んで医師になり、法律学を学んで弁護士なることはあっても、行政学を学んだことは行政職員なることには、ほとんど繋がらない。勿論、行政学を学んだ人が行政職員になることはあるかもしれない。しかし、それはたまたまの関係に近い。(3)

行政学を学んだことは行政職員になることにほとんど繋がらない」。なるほど。つい先日に両親と話したことだが、公務員には絶対なりたくないと思っていた僕が、大学で西尾勝行政学の講義を受講し、地方公務員の道を選んだことは例外的なことなのかもしれない。

自分側に権力へ繋がる方策を身につけても、「他人の身を切る改革」だけにのみ使われるかもしれないし、中途半端な権力を持つことで支配者の下僕として使役されるかもしれない。さらにいえば、権力の獲得・維持自体が、それが自己目的化することもあろう。行政の奉仕するべき目的を見失っては、効果は空振りしてしまう。(4)

「行政の奉仕するべき目的を見失う」、この言葉は重い。周囲の職員や組織を批判(非難)して距離を置いているようで、無意識的に行政の論理にべったりになってしまう人間は少なくない。

まずはこの「無意識」に気づき、「行政の奉仕するべき目的」を再考するために、本書を読み進めようと思う。