yamachanのメモ

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お買いもの『推論主義序説』外

本屋に行くと、「よみがえるヘーゲル!」という文字が飛び込んできた。それは、ロバート・ブランダム『推論主義序説』。

推論主義序説 (現代哲学への招待 Great Works)

推論主義序説 (現代哲学への招待 Great Works)

ヘーゲルの理論は、合理主義的なプラグマティズム」であり、「ヘーゲルは、何ごとかをなすことがいかなることであるのかを理解しようとする際、理由の文脈に地位を与えたのである」(46)と著者は語る。気になる一冊。なお、ブランダムについては、『思想2015.12』所収の、大河内泰樹「<研究動向>ヘーゲルプラグマティズム」が大変参考になる。また、滝口清栄・合澤清編『ヘーゲル 現代思想の起点』所収の、片山善博「アメリカにおけるヘーゲル研究の現況」も参考。その他、残念ながら手元にはないが、岡本裕一朗『ネオ・プラグマティズムとは何か』、久保陽一『生と認識』も必読。

そして、最近出版された、伊藤邦武『プラグマティズム入門』でも、ブランダムが取り上げられている。

プラグマティズム入門 (ちくま新書)

プラグマティズム入門 (ちくま新書)

プラグマティズム入門のための文献」では、出版当初から気になっていたど、パラパラして「うーん…」と悩んでいた、藤井聡プラグマティズムの作法-閉塞感を打ち破る思考の習慣』が取り上げられていた。改めて読んでみよう。

そして、分野が全く変わって、権丈善一『ちょっと気になる社会保障』。

ちょっと気になる社会保障

ちょっと気になる社会保障

他の権丈善一の著作もお薦めだが、とりあえずは本書を読むべし。

社会保障って、なんだか気になるんだよね。ちょっと知りたいと思うんだけど、なに読めばいいんだろ。政府の資料もいろいろとあるみたいだな。でも、なんか胡散臭いしなぁ。となれば、テレビで見たことのある人の本やよく売れてそうな本を読めばいいのかな。なるほど、これはおもしろいぞ、政府っていつも国民を騙そうとしているわけか。うんうん、そうかそうか……世の中はやっぱり陰謀で動いてたんだよなぁ。それを暴いてくれるこの本って、イケてない?えっ、なに、僕たち若者って、そんなにひどいめに遭ってるの?「若者は決してそれを許さないだろう」って、そんなこと知らなかったオレって何者?…だいたいもって、昔は高齢者を支える若者の数は御神輿型だったのがこれからは肩車型になるんだろう。そんなんで、あの、なんて言うんだ、僕たち若者が高齢者に貢いでいるって言うの、いや奪われているって言うのかな、あんな年金もつわけないし、やめてもらいたいよ。そんな制度になってしまったのは、政治家や官僚がえらいいい加減なことしたからなんだろぉ。(ⅰ-ⅱ)

いろいろと勉強している人でも「陰謀(論)」の罠に陥る人が結構いるし、単純な政治家・官僚批判に陥る人も多い。権丈氏の文章はクセがあるので、人によっては感情的に反発したくなるかもしれないが、まずは本書を冷静に読んでほしい。