2016年も終わろうとしている(けど仕事は終わらない…)。今年も多くの分野の本から多くのことを学んだ。そのなかでも特に印象に残っている5冊(順不同)。
①齋藤元紀・澤田直・渡名喜庸哲・西山雄二編『終わりなきデリダ』
年末に出版されたデリダ本。デリダ好きにはたまらない一冊。文献案内も充実。とても参考になる。
終わりなきデリダ: ハイデガー、サルトル、レヴィナスとの対話
- 作者: 齋藤元紀,澤田直,渡名喜庸哲,西山雄二
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2016/11/25
- メディア: 単行本
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②山本圭『不審者のデモクラシー』
これからの政治主体を考える上で重要な一冊。デモクラシーの制度的側面を重視する人にこそ読んでほしい。
③吉野作造講義録研究会『吉野作造政治史講義 矢内原忠雄・赤松克麿・岡義武ノート』
現代政治を観察するうえで、本書のような「政治史」は重要になる。何よりも、このようの本が出版されること自体が嬉しい。
④伊藤正次・出雲明子・手塚洋輔『はじめての行政学』
行政学の教科書と言えば、西尾勝『行政学』だったけど、これからは本書になるかも。行政職員も必読。
⑤松田宏一郎『擬制の論理 自由の不安』
個人的に、「擬制」は最近のキーワード。その文脈で読んだのが本書。とても面白く、勉強になった一冊。
その他、この5冊以外で印象に残っている本。
⑥蝶名林亮『倫理学は科学になれるのか』
本書は政治哲学や法哲学に関心がある人にも読んでほしい。
⑦高橋陽一郎『藝術としての哲学』
ショーペンハウアー哲学だけではなく、哲学そのものについて考えさせられる一冊。
⑧藤田直哉編・著『地域アート 美学/制度/日本』
地域アートや地域活性化に関心がある人/携わるにとって必読の一冊。美学の勉強にもなった。
⑨飯田泰之・木下斉・入山章栄・林直樹・熊谷俊人『地域再生の失敗学』
これも地域活性化に携わる人は必読。個人的には行政職員に読んでほしい。
⑩木下斉『地方創生大全』
これも行政職員に読んでほしい一冊。本書の内容を受け止めることができる人を増やさないといけない。
⑪吉田徹『「野党」論』
「(今の)野党は駄目だ」というのは事実かもしれないけど、そのような状況においてこそ、野党に対する我々の認識を深めることが重要。
⑫遠藤乾『欧州複合危機』
大きな問題に直面したときにこそ、冷静な分析が必要である。また、具体的な問題に学問が成しうることを本書は示してくれる。
⑬カンタン・メイヤスー『有限性の後で』
専門的なことはわからない。でも、世界について考える楽しさを教えてくれる一冊。
⑭村井則夫『人文学の可能性』
人文学について様々な議論が飛び交っている(いた)けど、とりあえずは本書を読めと言いたい。
⑮小島秀信『伝統主義と文明社会』
保守や秩序を語る上で必読。本書を読んで、エドマンド・バークはもっと注目されるべきだと思った。
⑯横濱竜也『遵法責務論』
「不正な法」とどのように向き合うか、この事はもっと深く、真剣に考えるべき問題。
⑰富永京子『社会運動のサブカルチャー化』
この一冊を読むだけで、社会運動に対する認識が変わる。社会運動に批判的な人に読んでほしい。
⑱平井靖史・藤田尚志・安孫子信編『ベルクソン『物質と記憶』を解剖する』
ベルクソンと認知科学や分析形而上学とが絡み合う興奮。刺激的。
⑲堤直規『公務員1年目の教科書』
公務員一年目の職員はもちろん、中堅・ベテラン職員も読むべし。
⑳山本貴光『「百学連環」を読む』
本を読む楽しさ、特に精読することの快楽がわかる一冊。